Palantir Technologiesってどんな会社?
Palantir TechnologiesはNYSEに上場している会社でビッグデータやAI関連の企業に分類されています。ですがこの企業が行っている事業の中身を詳細に知っていてイメージできる一般の人はあまりいないのではないでしょうか?
事実、Palantirは「何をやっているかよくわからない企業」と言われたりすることも多々あるようです。謎のベールに包まれたイメージはそもそもこの企業の成り立ちや事業内容が関係しているのかもしれません。
Palantirは設立当初からCIA(アメリカ中央情報局)の資金を受けています。当初は国家の情報活動を補助するソフトウェアを開発していました。これまでにも同社のクライアントはCIA(アメリカ中央情報局)、FBI(アメリカ連邦捜査局)、NSA(アメリカ国家安全保障局)、CDC(疾病対策センター)、アメリカ海兵隊、アメリカ空軍、アメリカ特殊作戦軍等の国の機関が多く含まれています。
以下にパランティアのホームページへのリンクを貼っておきます。日本語のページも用意されていますので御覧になってください。
これまでにウサマ・ビン・ラディンの行方の捜索に使われたり、新型コロナウイルス感染対策にも使われてきました。直近ではウクライナ戦争においてもその力を発揮したとされています。
Palantirを設立したのはピーター・ティールとアレックス・カープ等です。イーロンマスクとペイパルを創業したピーター・ティールはペイパル売却後はスタートアップに投資するファンド(Founders Fund)を運営しています。その出資先のひとつがPalantirなのです。
Palantirは2014年にForbes誌において「シリコンバレーで最も価値のある民間テクノロジー企業の1つ」と評されています。
Palantirのイメージを少しでもつかんでもらうためにCNBCで特集された動画を掲載しておきます。パランティアの設立目的やその事業内容について理解が深まると思います。
Palantirの何がすごいの?
Palantirは次のようないくつかのプラットフォームを提供しています。
Foundry(ファウンドリー) | 民間企業向けのプラットフォームで様々な分野で使われている |
Gotham(ゴッサム) | 政府向けのプラットフォーム |
Apollo(アポロ) | FoundryやGothamを管理するためのプラットフォーム |
AIP(エーアイピー) | 2023年に導入された大規模言語モデルやAIを導入したインターフェース |
これらのプラットフォームで可能になることは従来人間では気づかなかったような情報同士の繋がり、関連性を可視化し意思決定に役立てることです。そのために必要な技術として「ダイナミック・オントロジー」という技術が用いられています。Palantirはこのダイナミック・オントロジーに於いて世界の最先端を走る企業なのです。
オントロジーというのは情報学の分野で主に使われる概念ですが、物事の関連性を表現するためのものです。Palantirのプラットフォームではそれぞれの情報の繋がりをグラフ(下の動画に出てくるようなネットワークを表現する繋がり)で表すことで人間にも理解しやすくします。そして「ダイナミック・オントロジー」はこのつながりの時間的な変化に対応して情報を整理するための技術と言えます。
このように変化する情報の関連性を整理し解析することで顧客の意思決定を助けることができるというのがPalantirのテクノロジーの強みとなっています。
Palantirのプラットフォームの詳細については同社が公開した動画からある程度のイメージがつかめます。下記の動画を見てみてください。英語がわからない方は字幕を日本語自動翻訳で視聴可能になっていますのでお試しください。
下の動画はPalantirのプラットフォームがどのようにサプライチェーンの把握に使われるかの一例やコロナパンデミックでの物流管理の様子をイメージ動画にしたものです。少しはPalantirのサービスのイメージがつかめるのではないでしょうか?
Palantirの将来性は?
Palantirの株価は2023年9月時点では15ドル近辺を行ったり来たりしています。時価総額はおよそ320億ドルとなっています。Palantirは従業員への報酬を株式で支払っておりこれが下押し圧力になっているのでは?と分析するアナリストもいますが、近年のAIブームやPalantirの着実な実績にともない株価は回復基調です。
現時点ではアナリストの評価もまちまちで、2023年8月にはモルガンスタンレーがPalantirを「アンダーウェイト」に引き下げました。
一方でアークファンドを運用する著明投資家のキャシー・ウッドは持ち株のテスラ株を大量売却しPalantirを大きく買い増ししています。
投資家の中にはPalantirが「ネクスト・テスラ」となる企業だと考えている人もいるようです。Palantirのサービスが様々な企業や政府機関に導入が進んでおり契約件数が伸びていることや、同様のサービスが現時点で存在せず競合がいないこと等が好感されているようですね。
さらには株式投資を考えるうえでPalantirが魅力的なところはその技術力だけに限らず既に黒字化しており十分な自己資金があるということです。今後のAI市場の動向によっては大きく発展する可能性も否定できません。