企業価値いくら?適正株価いくら?

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企業価値ってなんだろう?

企業価値とは文字通り企業の経済的価値のことです。投資を検討するうえで「この企業の価値はどれくらいか?」「現在の株価が企業価値に対して割高か?割安か?」といったことが気になることは多々ありますよね。

企業価値の評価にはさまざまな手法があります。以下に代表的な手法をいくつか挙げます。

  1. インカムアプローチ: 企業が生み出す収益(キャッシュフロー)をもとに企業価値を算出する方法です。
  2. マーケットアプローチ: 事業の類似する上場企業のマーケットにおける株価等の数値から相対的に企業価値を算出する方法です。
  3. コストアプローチ: 貸借対照表に記載された資産・負債をもとに、これらを新規に調達した場合、どの程度費用がかかるかという面から企業価値を算出する方法です.

これらの評価アプローチは、それぞれ異なる視点から企業価値を評価します。インカムアプローチは将来の収益性を重視し、マーケットアプローチは類似する上場企業の市場データを参考にします。一方、コストアプローチは貸借対照表の情報をもとに、資産や負債の再調達費用を考慮します。

これらの手法は、評価対象や目的によって使い分けられます。

その銘柄割安ですか?割高ですか?

ここでは特に有用性の高い方法としてDCF法を、簡便な方法としてマルチプル法をとりあげます。

DCF法

DCF法は企業の価値を評価するための手法の一つです。DCF法は将来のキャッシュフローを現在価値に割り引いて足し合わせることで企業価値を求めます。 DCF法の計算式は複雑ですが、基本的な考え方を理解することで利用できるようになります。

DCF法の計算式は以下の通りです:

DCF = FCF1 / (1 + r)^1 + FCF2 / (1 + r)^2 + … + FCFn / (1 + r)^n

ここでDCFは企業価値、FCFは将来予測されるフリーキャッシュフロー、rは割引率です。割引率はリスクの度合いに応じて設定されます。リスクの大きい場合は割引率も大きくなります。最もリスクの少ない場合としては長期国債の利率が適用されたりします(リスクフリーレート)。

DCF法のメリットとしては、以下のような点が挙げられます:

将来キャッシュフローを考慮: DCF法では将来予測されるキャッシュフローを考慮するため、企業の将来の収益性を評価することができます。

割引率によるリスク評価: DCF法では割引率を用いてキャッシュフローを現在価値に換算するため、リスクを考慮した評価が可能です。

柔軟性: DCF法では予測期間や割引率などのパラメータを調整することで、様々なシナリオに対応することができます。

一方で、DCF法にはいくつかの注意点もあります。例えば、将来予測されるキャッシュフローや割引率の正確な予測が困難な場合があります(全く前例の無い業種や、創業した手のベンチャー等)。

マルチプル法

マルチプル法は、企業価値を算定する手法の一つです。この手法では、対象企業と類似する上場企業の株価などを参考に、売上や利益などの指標に倍率(マルチプル)を乗じることで、対象企業の企業価値を算出します。

マルチプル法は、マーケット・アプローチに分類される手法であり、客観的な数値が比較的簡単な計算式で算出できるため、M&Aの初期段階で活用されています。

マルチプル法では、類似する複数の企業をピックアップし、各社の株価から事業価値や評価を簡単な計算式に当てはめ、平均値などを出す計算が行われます。この数値に評価対象企業の主要指数をかけることで、企業価値を推定します。

例えばA社の企業価値を算出したいとします。A社の売上高は100億円です。類似企業としてB社とC社をピックアップしました。B社の売上高は150億円で企業価値が300億円。C社の売上高は200億円で企業価値が400億円。この場合B社とC社のデータから得られる売上高マルチプル(企業価値÷売上高)の平均は、
売上高マルチプル=(300億円+400億円)/(150億円+200億円)=2.0倍
するとA社の企業価値はA社の売上高100億円に売上高マルチプルをかけて100×2.0=200億円となります。

マルチプル法の大きな特徴は、簡単な計算で比較的客観性の高い企業価値・株式価値を知ることができる点です。一方で、マルチプル法にはいくつかの注意点もあります。例えば、類似する企業が見つからない場合や株価が大きく変動している場合には適用が難しいことがあります。

将来の企業価値を考えよう

前述の企業価値に関する評価方法の中でも最も重要な物はDCF法かもしれません。DCF法の考え方から逆に企業価値を考えた時、結局企業価値を増大させるものは将来の利益の伸びであることが明白です。従って将来の株価の伸びに関しても、その売り時に関しても企業価値という点から判断するならば「将来の利益がどれくらいの期間でどれくらい伸びるのか?」を自分なりに予測してそこから最適な売り時を判断することが重要といえます。

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